タナカーゴ

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松笠風鈴・江田 蕙さん(宮城県登米町2005.5月)

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松笠風鈴を手に取る23代目の江田蕙さん

松笠風鈴は澄んだ音色の余韻が続く

一子相伝、門外不出の不思議な風鈴!
5月というのに仙台空港近くの温度計は2℃。死ぬほど寒かった。めざすはほとんど岩手に近い、現在の登米市(とめし)登米町(とよままち)。江雲堂23代目当主・江田嘉茂左衛門をつぐ江田蕙さんは、和鉄を使う金属工芸作家。小はこの風鈴から、茶釜、大仏、梵鐘等あらゆる分野の鋳物を製作し活躍中だ。

卵形をして裾が独特の虫食い状。澄んだやわらかな音色は、うっとりするほど余韻が続く
その音色は、さまざまな風流人に愛されてきた。アルバート・シュバイツァー博士が住むアフリカ・アドリナノンゴの家にも松笠風鈴が飾られていたことが、『シュバイツァー』(山本和夫著・偕成社)に書かれているそうだ。また、三重苦を克服した奇跡の人、ヘレン・ケラーも愛用していたという。

素材は和鉄!砂鉄から作られた古鉄だ。震災で、松笠風鈴の伝統は途切れないのだろうか
古来、和銑(わづく)と呼ばれる日本の鉄は砂鉄を原料に「たたら製鉄」で作られてきた。あの映画『もののけ姫』にも描かれた過酷な労働だ。その後、明治中期に産業革命で発達した鉄鉱石を溶鉱炉で溶かす洋鉄一辺倒に変わったが、錆びやすい洋鉄に比べ、和鉄は10倍以上の耐久性に優れ、上質なのだという。「地球は鉄の惑星」といわれるほど身近な元素・鉄。容易に溶かしてリサイクルできる。しかし、松笠風鈴をはじめ江田さんが使う鉄は、和鉄。もともとの素材は、はるか昔に作られた五右衛門風呂やクワ、スキ、東北のホヤやカキをとる船の重りなどなど。震災で多く人命や家財道具、設備などとともに、松笠風鈴の素材・和鉄も失われた。松笠風鈴の伝統が未来へ代々つながることを祈りたい。

江雲堂 登米店 宮城県登米市登米町寺池金谷17-1

●お昼は牛タン!いえ、BSE発生によるアメリカ産牛肉輸入停止の影響で、牛タンが消えていた!で、なぜか初の“豚丼”を賞味。

■スタッフ:写真/谷内寿隆[office tag]・デザイン/岸本郁夫[元ガラモンド・現ラッシュ・デザインオフィス]

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